ニコル
動揺、そして逃亡
 「さぁ、授業を始めるぞ。」
 浩二は自分自身の気持ちをリセットさせるかのように、大きな声で生徒達に声をかけた。その言葉でリセット出来るつもりでいた。けれども、教壇の目の前にいるニコルが一瞬視界に入るだけで、それは無駄な努力だと痛感した。
 黒板に書く文字にも心の乱れが現れていた。
 その乱れた文字に呼応するかのように、クラスのあちこちから色々な声が聞こえ始めた。
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