ニコル
 「さようなら。浩二。」
 別れの言葉は突然だった。

 ボニーの父親は軍人だった。
 その頃、浩二は米軍基地の側に住んでいた。
 本当に手の届く距離なのに、触れる事すら出来ない基地の中と外。その事が、浩二とボニーを一瞬で近づける力となった。本当に一瞬だった。
 しかし、別れも一瞬で訪れた。
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