ニコル
ミシミシ・・・。

その音はいっそう激しくなった。あまりの音の激しさに江川の心は急激に収縮し、自分を見失い始めていた。
「はあ。はあ。はあ・・・。」
大きく息をしながら、また、ニコルの金髪が目についた。江川はニコルの元に走ると、思い切り胸ぐらを掴んだ。
「おい。あれはお前だろ。どうにかしろっ。」
前後に激しく揺さぶってもニコルは顔色一つ変えずに、江川の顔を眺めているだけだった。完全に江川は自分を見失った。
思い切りニコルを殴りつけ、もう一度、同じ事を言った。
「どうにかしろって言っているのがわからないのかぁ。」
それは、もう生徒にかける言葉ではなかった。
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