ニコル
叫び
  真生はまだ保健室で立ち尽くしていた。

 ―――どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 まだ幼い真生には何も良い考えが浮かばなかった。いつの間にか、その瞳には涙が姿を見せだしていた。しかし、真生は涙をそのまま流すようなかわいらしい女の子ではなかった。グッとこらえようと思い切り顔を上に向けた。
すると、目の前にある天井にあるシミが、だんだんと形を成していく感じがした。
 涙で世界が滲んでそうなっていると思った。けれども、それは確実にそこにあるようにはっきりと形を成してきた。シミは陰鬱な瞳を作り出した。それから鼻、口。ニコルの顔になっていった。
 何度も、何度も目をこすり、何度も、何度も見直した。でも、ニコルの顔にしか見えなかった。
 ―――ニコル君にそっくり・・・。
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