ニコル
 叫び声は浩二の耳にも届いた。
 ―――大友?
 そう考えるよりも早く、浩二は声の聞こえた方向へ走っていた。生徒を思う気持ちが、さっきまでの浩二からは考えられないくらいの速さをもたらした。
 ―――この方向は保健室・・・。
 真生がそこにいると浩二は確信した。
 「大友っ。」
 そう言って、思い切り保健室の扉を開けた。しかし、そこに真生の姿はなかった。
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