ニコル
 ニコル達がひとつ、またひとつと起きあがり何かを見詰めはじめた。視線の先にあるのは江川のほくろだらけの顔だった。
 自分に視線が向けられている事を江川もすぐに感じ取った。
 ―――み、見てる。
 右を見ても、左を見ても、江川はニコル達に囲まれていた。足下には、何人かの生徒が抱き合いながら泣き叫んでいた。
 「助けて。」
 「先生ぃ。」
 もう、生徒達には江川しか頼るものはいなかった。
< 79 / 155 >

この作品をシェア

pagetop