ニコル
 ひとりのニコルが大きく息を吸った。そして、吐くと同時に江川に大きく口をあけ、飛びつこうとした。
 江川は足下にいた生徒をひとり抱きかかえると、その向かってきたニコルに投げつけた。

 「痛い。痛ぁいぃぃ。」

 投げつけられた生徒の肩が、大きく開けられた口にはまり、その肉を食いちぎらんばかりだった。慌てて、側にいた生徒がニコルを蹴飛ばした。しかし、生徒の肩からは激しく血が流れていた。
 生徒達にとっては、ニコルも、目の前にいる江川も同じ存在になっていた。
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