ニコル
生首
浩二のクラスまでもう少しだった。そこで浩二は異様なものを見つけ、立ち止まってしまった。
綺麗な金髪、それはまるでニコルのものと同じだった。その金髪を振り乱した生首のようなものが、浩二のクラスの前に何個も転がっていた。いや、転がっていると言うよりもその振る舞いは生きているように思えた。
―――なんだ。あれ・・・。
浩二の本能がそれ以上、クラスに近づくのは危険だと激しく命令していた。しかし、浩二はクラスに残してきた生徒の事を思うと、クラスに向かわずにはいられなかった。意を決して、右足を前に出そうとしたが出ない。
―――大丈夫。怖くない。怖くない。
そう何度言い聞かせても足が動かない。
―――いつもなら、こう心の中で唱えれば大丈夫なのに・・・。
浩二は不思議に思い足下を見た。
「うわああああ。」
浩二の足下に、目の前にいるはずの金髪の生首がいた。浩二のズボンの裾に噛みつき、放そうとしなかった。
「放せ。」
左足で何回も蹴り飛ばそうとするが、全く離れる様子がなかった。
「放せ。放せ。」
今自分に起きている事が生徒達に起きているかもしれない、そう思うと浩二の左足にいっそう力が入った。
「放せぇぇ。」
思い切り蹴り飛ばすと、浩二のズボンの裾が破れ、生首は廊下の向こうへと転がっていった。
―――今だ。
浩二は一心不乱に教室へと走っていった。
綺麗な金髪、それはまるでニコルのものと同じだった。その金髪を振り乱した生首のようなものが、浩二のクラスの前に何個も転がっていた。いや、転がっていると言うよりもその振る舞いは生きているように思えた。
―――なんだ。あれ・・・。
浩二の本能がそれ以上、クラスに近づくのは危険だと激しく命令していた。しかし、浩二はクラスに残してきた生徒の事を思うと、クラスに向かわずにはいられなかった。意を決して、右足を前に出そうとしたが出ない。
―――大丈夫。怖くない。怖くない。
そう何度言い聞かせても足が動かない。
―――いつもなら、こう心の中で唱えれば大丈夫なのに・・・。
浩二は不思議に思い足下を見た。
「うわああああ。」
浩二の足下に、目の前にいるはずの金髪の生首がいた。浩二のズボンの裾に噛みつき、放そうとしなかった。
「放せ。」
左足で何回も蹴り飛ばそうとするが、全く離れる様子がなかった。
「放せ。放せ。」
今自分に起きている事が生徒達に起きているかもしれない、そう思うと浩二の左足にいっそう力が入った。
「放せぇぇ。」
思い切り蹴り飛ばすと、浩二のズボンの裾が破れ、生首は廊下の向こうへと転がっていった。
―――今だ。
浩二は一心不乱に教室へと走っていった。