ニコル
 「近藤先生。どこに行くんです?」
 美咲を抱きかかえた香田の姿が目の前にあった。浩二の瞳からは涙がドッと溢れた。
 「香田さん・・・。」
 「近藤先生。泣いている場合じゃないですよ。どうやら、この学校にはもう私たちしか残っていないみたいですから。」
 香田のその言葉に浩二は驚きを隠しきれなかった。
 「それは本当なんですか?他のクラスの生徒は?先生達は?」
 香田は左右に首を振った。そして、こう付け加えた。
 「原因はわかりませんが、私が校内に戻った時には誰の姿も・・・。それで誰かいないか探していた時に、ちょうど近藤先生を見かけたって訳です。」
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