ニコル
 「もう、降ろしてもいいよ。」
 その声に香田はかなりびっくりしていた。その表情が面白かったのだろう、生徒達は一瞬だけ笑顔になることが出来た。
 香田は美咲を抱えていた事をやっと思い出したようだった。
 「ごめん。ごめん。」
 優しく両手で美咲を廊下に降ろした。
 「そりゃ、走るのも辛いはずですよね。」
 浩二が笑うと、生徒達はもう一度笑顔になることが出来た。
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