キミのコドウがきこえる。
階段を上って自分の部屋に行くと、向こうの方から送っておいた段ボールに詰められていた荷物が部屋の真ん中に置かれていた。
段ボールを開け、一週間着回しが出来るようにと持ってきた洋服たちをクローゼットにしまった時に、ふと、小学校や中学校時代の思い出の品々が詰まった段ボールの箱が目に止まった。
あまり昔のことを思い出したくなくて、クローゼットの奥の方にしまっていたから、ここにあったことも忘れていたくらいだ。
いつもだったら特に目に止まっても見ようとは思わないのだが、翔太と久しぶりにあった今日は、どうしても開けたいと思った。
段ボールを開けないようにと貼ってあったガムテープをはがし、その中に入っていた小さなピンク色の封筒を取り出した。
中には、「お守り」と黄色の糸で刺繍したフェルトで作った水色のお守りが入っていた。
「これ、翔太にあげようと思って作ったんだよね」
これは、学習発表会で発表が成功しますようにという願いを込めて作った、翔太へのお守りだった。
発表会の前日に翔太にあげようとランドセルに潜ませておいたのに、結局あげられないままずっとこの段ボールにしまったままだったのだ。
あの時のことを思い出すと、胸がツキンと痛んだ。
私と翔太は、学習発表会で音羽町に伝わる大太鼓を二人で叩く予定だった。
ずっと神社に保管されたままだった大太鼓を復活させようという6年生の卒業記念のプロジェクトの一つでもあったため、大太鼓を叩く人を決めるのはとても大変だった。
結局話し合いでは決めることが出来ずに、誰からも文句が出ないよう、じゃんけんで決めることになった。