キミのコドウがきこえる。


「いいじゃん、別に誰でも!」



「男の人!?」



「……」



「黙ってるってことはそうだね!誰!?超気になる!」



成美はいつもこうだ。

小学生の頃からこういう恋愛話系が大好きで、私が向こうで付き合っている人の話を聞くのが大好きだった。



「もうっ!気にならなくていいから。成美の好きなような話じゃないから」



「だったらなおさら教えてくれてもいいじゃん」



あまりにも成美がしつこいので、黙っている方が面倒くさくなった私は、「幼なじみに会いに来たんだよ」と成美に伝えた。

それがいけなかった。



「何それ!?男の幼なじみなんて、思いっきり恋の予感じゃん!」



成美の興味は余計に大きなものになってしまい、この勢いだと仁成兄ちゃんや、響子ちゃんや、お母さん、最後にはお父さんの耳にも入ってしまいそうだった。



「そうだね!ね、ちゃんと近況は報告するから、この話はここだけにとどめておいてね!もし、仁成兄ちゃんとかに話したら、教えないからね!」



「うん!分かった!」



成美は単純だから、こうして止めておくのが一番だ。

成美の単純恋愛脳に都合の良い『恋の予感』ということにしておこう。


< 29 / 73 >

この作品をシェア

pagetop