キミのコドウがきこえる。
その後は、目の前で起きている光景をただ茫然と眺めていた。
部長が部下たちに詰め寄られていて。
でも部長本人も、何が起こっているのか分からない状態で。
「俺だってどうしたらいいか分からない!家族もいるんだぞ……!!」
部長がそう言って泣き出してしまって、その場から社員が一人、二人といなくなって。
気づいたらその場には、愛菜と私だけが残っていた。
「成子先輩。とりあえず飲みにいきません?」
「え?大丈夫なの?昨日飲みすぎて具合悪いんじゃない?」
「だぁかぁらぁ!飲みすぎで気分悪そうにしてるんじゃないんですってえ!」
「ああ、そっか……ごめん」
「もう飲むしかないですよ、いきましょ!」
愛菜はそう言って、私をロッカールームへ連れて行って着替えさせると、美味しいビールとフライドオニオンが人気のお店に連れて行ってくれた。
ちょうどお昼にピッタリになるように、電車を乗り継いだところにあるお店。
こういう要領の良さは、さすが愛菜だなあと感心する。
「さあ先輩、着きましたよ!入りましょ」
お店の前には、おしゃれな木枠の黒板にメニューが書かれていた。