キミのコドウがきこえる。

成美は不思議そうな表情で質問してきた翔太に食ってかかるような勢いで、その質問を言葉でかき消した。

そんな必死な成美を見ていたら、なんだか助けなきゃいけないような気がして、翔太の興味がこちらに移るように私は話題を変えた。



「じゃあ、今までの話をまとめると、私が大太鼓を翔太と一緒に叩くのは音羽の夏のお祭りの時期ってことで、そこにでは違うイベントも混ぜ合わせて行うってことだよね?結構大がかりだけど、企画書とかそういうのはあるの?」



「うん。企画書はあるよ。見る?」



「うん、見たい」



「企画書って何?」



成美が、オレンジジュースを飲みながら不思議そうに質問してきた。



「企画書っていうのは、簡単に言うとどういう趣旨でそのイベントを開催するのかとか、どのくらいの予算がかかるのかとか、イベントまでのスケジュールとか……まあ、見てみたら分かると思うよ。」


翔太はそう言いながら、足元に置いてあった自分のリュックの中から、プラスチックの四角いクリアケースを取り出すと、その中から企画書を出して、私に見せてくれた。

成美もその企画書を覗き込むように見た。

翔太が書いた企画書は、小さな文字でびっしりと埋め尽くされていて、翔太がいかにこの企画を成功させようかという強い気持ちが伝わってきた。

思いだけでなく、どのくらいの人に協力してもらうかとか、どのくらいの集客を目標としているかなど、数値目標も示されていて、分かりやすい内容だった。



「すごいね……これ、全部翔太が作ったの?」



「全部ってわけじゃないよ。色々な人にたくさん相談した結果って感じ」

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