キミのコドウがきこえる。
ちょっぴり飲み過ぎて足元がおぼつかない私は、翔太にタクシーを呼んでもらって、成美に肩を貸してもらいながらタクシーに乗り込んだ。
「じゃあ成美ちゃん、成子お姉ちゃんのことよろしく頼むね」
「あいあいさー!」
タクシーの扉を閉めようとした翔太に「あ、翔太!」と、私はとっさに声をかけた。
「明日、また連絡する」
「おう。起きたときでいいから」
翔太は優しく微笑むと、静かにタクシーの扉を閉めて「じゃあな」と言って、片手をあげて見送ってくれた。
なんだかその笑顔に安心してしまって、家までたった数分の距離だったのに、私はあっという間に眠ってしまっていた。
「もうっ!お姉ちゃん、起きて!着いたよ!」
成美にゆさゆさと体を揺らされた感覚はあったのだけれど、起きることができなかった。
結局、困った成美が仁成兄ちゃんを呼んできて、私は仁成兄ちゃんのおんぶで自分の部屋まで運ばれた。
その日、私は幸せな夢を見た。
小学校の頃の自分が、学習発表会の舞台で翔太と一緒に太鼓を叩いている夢を……。
目が覚めて、この夢を本物にしたいって。
そう思った。