キミのコドウがきこえる。
「先輩って、しっかりしてるように見えるけど、抜けてるところがありますよねえ」
愛菜はソーセージをつんつんしながら、ちょっぴり呆れたようにつぶやいた。
「そんなこと言ってるけれど、愛菜はどうするつもりなの?」
「え?私はいい機会ですし、地元に帰ろうかと思っています。貯金もそれなりにあるし」
「地元で就職するの?」
「いえ。ためた貯金でカフェを開きたいんです。ずっと夢だったので」
愛菜は、にこりと笑うと「ちょっと早まりましたけど」と言ってビールを豪快に一気に飲み干した。
「広告会社に入ったのも、お店の宣伝の仕方とかイベントの開き方とか…色々学べたらいいかなって思ってたんですよ」
愛菜は、ずっと胸の中に抱いて大事にしていただろうその夢を、まるで扉が開け放たれたように、私に話し始めた。
要領が良いとは思っていたけど、まさかそこまでだとは思っていなかった。
おしゃれなお店をたくさん知っていたのも、色々な業種と合コンしていたのも、全部計画的に。
凄いなと思う反面、なんだか自分が惨めで、それ以上愛菜と一緒にいるのが恥ずかしくなってきた。
私は、その動揺を隠そうと必死に飲み続けた。
***
気づいた時には、アパートの玄関だった。
「頭いったー……」