九条くんは、王子様

「うん、乗ろ!」

わざと、明るく返事をする


だって…

九条くんの表情が、嫌な予感がする私の胸をザワザワと掻き立てるから。


観覧車の中に入ると、私は、窓の外を見た


妙に真剣な空気が流れている観覧車の中は、息苦しくて逃げたくなった


長い沈黙を先に破ったのは、九条くんだ。



「相笠さん」




「…別れよう。」




わたしは、返事をする前に、ニコッと口角を上げた


だって、声を出すと涙が出そうだから

でも、あれ?意味ないや

目からポタポタと涙は、溢れてくる



なんとなく気づいてたんだ…

分かってたんだ


でも、直接言われるとやっぱり辛いよ…


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