九条くんは、王子様


なんか、何も考えず来ちゃったけど、九条くんからしたら未練タラタラの元カノがストーカーみたいに追いかけてきた!みたいな状況だよね…しかも、イギリスまで。

うう…どうしよ
いま、九条くんに冷たくされたら……

考えただけでも、目が熱くなる。



「由衣、手が震えてるよ?大丈夫?」


心配そうに、顔を覗き込んでくれるカオルくん


まさか、ここまで来て、心の準備ができてないから、九条くんには、会えませんは、ダメだよね…?

自分の震える手を強く握り、カオルくんを見て笑顔を向ける

「いつも、こんな私の面倒を見てくれてありがとう…正直、九条くんにどう思われるか怖くて、手も震えてるけど、今の気持ち九条くんに、伝えてくるね!後悔しないように!!!」

九条くんと会うのは、これが本当に本当の最後になるかもしれない…。

せっかくカオルくんがくれたチャンス…、後悔しないように、やりきろう!

その気持ちのまま、真っ直ぐカオルくんに笑顔を見せた


「うん……頑張れよ!それから、俺は、結構お節介だから、これからも、由衣が嫌でも面倒見続けるつもりだから、覚悟しててよ」

可愛くニコッと笑うカオルくんは、そのまま私の背中を両手で優しく押してくれた


…………


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