九条くんは、王子様
あ…!!!
「理香ちゃん…、わたし、教室に携帯わすれちゃったかも…。」
まさか、携帯を忘れるなんて…さいあくだ…。
「じゃあ、先に行って待ってるね!!」
「ありがとう!ほんと、ごめんね」
理香ちゃんに手を振って、全速力で走るけど、階段という名の敵には、やっぱり勝てない…。
ふぅ、階段、疲れたぁ…。
私は、教室に入ろうとし扉に手をかける…
あれって…クラスメイトの九条くんだよね?
知らない女の子と2人きりの教室…。
もも、もしかしてコレは、告白現場!!!
九条くんって、本当にお顔が綺麗で、勉強もスポーツも、できるもんなぁ…まるで少女漫画のキャラクターに出てきそうな感じ!
少し気になり、そーっと耳を済まして聞いてみる。
「……ずっと好きだったの、付き合ってくれないかな?」
や、やっぱり、告白!!
わぁ、あの子凄く可愛い…!!
きっと誰だって付き合うよ!!
…………………ドキドキ
「興味無い」
その、たった一言が、雪のように冷たく感じた…。
一瞬、時間が止まったかのように、女の子も固まって「そうだよね」と落ち込んだ顔で、教室を出て行ってしまった。