九条くんは、王子様
うぅぅ…、この状況すっごく入りづらい。
「相笠さん、盗み聞きは、良くないと思うよ」
ぐわっ!……バレてたんだ…。
教室の中からは、どんどん九条くんが近づいて来てるであろう、足音が響く。
私は、その音に…意を決すると、教室の扉を開けて謝罪した。
「ご、ごめんなさい…!!!」
数秒経って顔を上げると、九条くんの綺麗な顔に思わず見とれてしまう。
わぁ、凄い髪サラサラで綺麗…
まるで、本物の王子様みたい!!!
って、あ、あんまり見ると失礼だよね…。
すすーっと視線を机に向ける。
「じゃあ、許してあげるから、付き合って」
…………え、ん?今のって…
いや、落ち着け私、きっと疲れてるんだ…
きっと、聞き間違いだよね。
「く、く九条くん、ちょっと良く聞こえなかったから、もう一度言ってもらってもいいかなっ?」