未熟女でも恋していいですか?
ゴールデンウィーク前の1週間は、慌ただしく流れていった。

早々と体育祭のあるこの学校では、もしかすると秋以上に忙しい毎日だったかもしれない。



「明日からロングバケーションの始まりね!」


いろいろと計画を立てている音無さんは嬉しそうだ。


「バケーションもいいけど済んだら直ぐに中間考査よ。休みの間に準備を進めておかないと」


何処にも行く計画のない私は現実的。

嫌なこと言うなぁ…と顔を曇らせ、音無さんは家族の待つ家へと帰って行った。




カサカサ…とマイバッグの音を立てて家路に向かう。

この1週間ばかり忙し過ぎて、夕飯作りも手を抜いた。


(今夜は久しぶりにきちんと作ろう…)


食べながら明日から始まるロングバケーションの計画を立てようと思っていた。

だから今夜はカレーにするつもり。



(カレーか。高島さんが居たら甘口よりも辛口を好むのかな…)


食べ物イコール腹ペコアオムシの顔が浮かぶ。

1週間も前に別れたきりの人のことをどうしてこうも気にするのか。



「バカな私…」



考えても仕方のないことだと割りきる。

家の前にいつも停まっていた軽トラックは、あれから一度も見たことがない。



(当たり前か…)


我が家のメンテナンスは終了したんだ。

此処にはもう用事はない。



トン、トン……と具材を切る音が途切れがちになる。

一人分のカレーの具材は、あっという間に切り終えた。

< 115 / 190 >

この作品をシェア

pagetop