未熟女でも恋していいですか?
今頃になって納得している。

昨夜、仏壇に手を合わせたことなんて、この人にとってはきっとどうでもいいことなんだろう。


「後から線香上げさせて。お礼言いたいから」


礼儀だけはあるようだ。


「どうぞ、お好きなように」


冷めた言い方をしながらも感謝の念は持つ。


その辺はキチンとしてたい。

大人だから、私は。



「ねぇ、カツラ…」


「さん」


「さん」


真似っこか。


「何よ」


「何ですか?…だろ」


「何ですか?」


あー面倒くさい。


「夜中にも聞いたけど、何か困ってることねぇ?俺で良ければ役に立つよ!」


「何もないわね。何よりあなたがいることが困ってるくらいで」


「そお?あるんじゃないか?高い所が掃除できねぇとか、重い物が動かせねぇとか」


「高い所?重い物?あーそう言えば…」


「あるのか?」


嬉しそうに身を乗り出す。


「…無いわ、特に」


最初から考える気ゼロ。

とにかく、この男を追い出せればそれでいい。


「じゃあ外壁塗装だけだな。請け負った!」


「請け負わなくてもいいよ。そんなの頼んでもないし」


「俺が勝手にやるだけだ」


「やらなくてもいいって!」


ダンッ!と音を立ててスープカップを置く。

その手元を眺めていた男の視線が上を向き、ジッとこっちを睨んだ。



「…何よ」


「何ですか?…だろ」


「しつこい!」


話し方なんてどうでもいい、この際!


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