未熟女でも恋していいですか?
「俺はメシの礼をしてやるって言ってるだけだ」


「私はそれもしなくていいって言ってるんですっ!」


睨み合いながら一つだけ気づいたことがあった。



こいつも私も性格が似ている。

負けず嫌いで意地っ張りな所が。



「俺は他人に借りを作ったままでいるのは嫌なんだ!」


「私もそういうのは嫌だけど、要らないお節介はして欲しくありません!」


「意固地だな!」


「どっちが!」


息を弾ませて肩を怒らせた。

心なしか身体中が熱く感じる。



「カツラ、顔真っ赤!」


癖のように吹き出した男が笑い始めた。



「そういう高島さんこそ赤いっ!」


笑い声につられて声のトーンが上がった。



笑ったら負け。

笑ったら負けだ…と思いながら。



「頼むからどっか修理させてくれよ。でないと、この家から出て行かねーぞ!」


笑いながら脅迫してくる。


「そんなに言うなら表の藤棚を何とかしてよ。柱が古くて曲がってるから倒れそうで困ってたの」


でも、この人は大工ではないし、最初から思い浮かんではいたけど遠慮していた。



「藤棚か。容易い御用だな」


「容易いの?」


「ああ。何でも出来るから俺」


器用だろ〜と自画自賛している。




(……やっぱり変な人)



再認識しながらホッとする。

腐りかかっていた藤棚の修理は、自分ではどうしようも出来ずに弱り果てていたから。


< 29 / 190 >

この作品をシェア

pagetop