未熟女でも恋していいですか?
「……あの人は知り合い?」
振り向きながら問われる。
知り合いじゃないと言えば嘘になる。
初対面の出会いは昨日済ませていたから。
「え、ええ。まあ……」
曖昧な感じで答えた。
「藤棚の柱が腐っていたので、修理をお願いしたんです…」
「ほぉ。藤棚のね…」
納得するように見つめ返す。
さっきまで鼻歌交じりに手を動かしていた男は、ほぼ塗り終えたように作業を中止した。
「何も無ければいい。もしも、何か困るような時はいつでも言っておいで」
人の良さそうな顔をした白髪の会長さんは、そう言って玄関を離れる。
「ありがとうございます。ご心配をおかけします…」
頭を下げながら見送った。
会長さんは作業を終えた男にも会釈をして、家の敷地を出て行った。
「…済んだぞ」
若干不機嫌そうな声が呟く。
手袋を外した男に目線を向け、負けじと無愛想に答えた。
「そう。どうもありがとう」
だったら早く出て行け。
……とは、何度も口にしたくない。
そんな思いを見透かされた。
「じゃあ出て行くから」
「どうぞ」
顔色一つ変えない私に小さく舌を打ち、防腐剤の缶と刷毛を手にした。
『ぐぅ〜〜〜っ』
途端に鳴る大きな腹の虫の声に呆れる。
ぴくっと引きつる腹筋を感じながら笑うな、笑うな…と必死に堪える。
『くぅ』
二度目の犬の鳴き声のような音に目が点になった。
我慢しているのも限界になり、つい吹き出してしまった。
振り向きながら問われる。
知り合いじゃないと言えば嘘になる。
初対面の出会いは昨日済ませていたから。
「え、ええ。まあ……」
曖昧な感じで答えた。
「藤棚の柱が腐っていたので、修理をお願いしたんです…」
「ほぉ。藤棚のね…」
納得するように見つめ返す。
さっきまで鼻歌交じりに手を動かしていた男は、ほぼ塗り終えたように作業を中止した。
「何も無ければいい。もしも、何か困るような時はいつでも言っておいで」
人の良さそうな顔をした白髪の会長さんは、そう言って玄関を離れる。
「ありがとうございます。ご心配をおかけします…」
頭を下げながら見送った。
会長さんは作業を終えた男にも会釈をして、家の敷地を出て行った。
「…済んだぞ」
若干不機嫌そうな声が呟く。
手袋を外した男に目線を向け、負けじと無愛想に答えた。
「そう。どうもありがとう」
だったら早く出て行け。
……とは、何度も口にしたくない。
そんな思いを見透かされた。
「じゃあ出て行くから」
「どうぞ」
顔色一つ変えない私に小さく舌を打ち、防腐剤の缶と刷毛を手にした。
『ぐぅ〜〜〜っ』
途端に鳴る大きな腹の虫の声に呆れる。
ぴくっと引きつる腹筋を感じながら笑うな、笑うな…と必死に堪える。
『くぅ』
二度目の犬の鳴き声のような音に目が点になった。
我慢しているのも限界になり、つい吹き出してしまった。