未熟女でも恋していいですか?
あったかな…と独り言を呟きながら部屋の前にある物置を開けた。


「トンカチ、トンカチ………あっ、あった!後は潤滑油…と」


整理もされずに何年間も放ったらかしの物置の中は、何が何処にあるのかがさっぱり不明。

潤滑油のスプレーボトルは頭の中に浮かんでいるものの、何処にあるのかまるで見当もつかない。




「悲惨な状況だな、これは……」


業を煮やした高島が覗きに来た。


「こんなんじゃ、いざという時に困るだろう」


はい。仰る通り。

今現在、非常に困っている。


「ここもメンテナンスが必要だな。ざっと見た感じ家の中もあちこち手直しが要りそうだけど、何処から直すのがいいと思う?」


「何処からと言われても……」


脱衣所の扉だけでいいし、大体ずっと居座られても困る。


「……家の修理はして頂かなくても大丈夫です。扉を直して頂くだけで十分」


「それじゃあ俺の気が済まない。食わせてもらって休ませてもらってるんだ。それに見合うだけのことはさせて貰う」


しつこい奴。

別にいい…と言っているのに。


「では、一番最初にこの物置を何とかして下さい。何処に何があるか、私が一目見て分かるように」


「オッケー。じゃあ先ずはここな。それから扉を直して、外壁を塗って……」


頭の中で計画を立て始める。

一体何日ここに住むつもりでいるのか。




「あの……」


「あん?」


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