未熟女でも恋していいですか?
上から見下ろされる目のチカラに負けそう。

それでも言わなくては。この家の主人は私なんだから。


「うちの修繕よりも仕事を優先しなくていいの?お金が入らないと困るでしょう?」


新しい部屋を借りるのにも敷金や礼金が掛かる。

一件あたりの仕事料が幾らなのかは知らないけれど、この家のことばかりに構ってなどいられない筈だ。


「俺の仕事のことなら心配しなくてもいいよ。自営業だからどうにでもなる。急ぎの仕事も今の所はねぇし、先にこの家のメンテナンスをしてやるよ」


「してやるよ…って…」


しなくてもいい…と言ったじゃない。

どうしてそこまで頑固なの。


「あのね、私は……」


「カツラの言いたいことは分かるよ。でも、1人では不可能なことが多いだろう?俺はそれをしてやろうと言ってるだけだ。だから黙って見とけ」


見とけと言われて、分かりましたと答えられるものか。


「でも…!」


「何ならお前からメンテナンスするか?それならいつでもオッケーだぞ」


「け、結構ですっ!!」


間に合っている。

と言うか、近づくな!


「なら家のことは任せろ。いい具合にしてやる」


代われ…と場所を取られてしまった。

キョロキョロと中を見回しながらブツブツ言っている。

頭の中では既に棚の位置を考え始めているみたいだ。



(ああもう。すっかりペース呑まれてるし……)


助かるけど困りっ放し。

一体どうすればいいのやら。


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