未熟女でも恋していいですか?
(えっ……!?)


あっという間に両手首を握りしめられ、生徒の……ううん、飢えた若い狼の顔が近付いてくる。



『駄目……!やめて…!』


身を捩れば捩るほど、狼は息を荒げてしまう。


何とかしなければ、何とかしなければ……と、そればかりが脳裏を過るのにどうにも身動きが取れない。


『やめて……お願い……やめよう……?』


どんな声色で説得していたかなんて、まるで覚えてなどいない。

相手の生徒は後からの追求の際に、『先生から甘い囁きを受けた』と言った。



学生時代、勉強ばかりしていた私には、男性経験は皆無だった。

だから、この生徒に襲われたのが、正に初めてとも言える男性との絡みになった。



生徒の手は震えていたと思う。

興奮と錯乱とで、かなり小刻みに震えていた筈だ。


その手でブラウスのボタンが一つ、二つ…と外され、胸元の肌が見え始めた時に熱い息を感じた。


『キレイだよ…。先生……』


擦り付けられた鼻先の感触に、恐怖心を露わにしてしまった。



この子は生徒じゃない。

このまま言うなりになったら、私もこの生徒も未来がなくなる……!!




『お願い。やめて…!お願い……っ!イヤぁぁぁぁぁぁ……!!!』



腹の底から出した声を聞きつつけて、近くの教室から先生方が走ってきた。


馬乗りになっていた生徒を離し、私は震える体を自分で抱きしめるようにして保健室へと避難させられた。

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