未熟女でも恋していいですか?
生徒は放心状態のまま担任に付き添われて自宅へ戻った。

母親は私を襲いそうになったと聞かされ、何かの間違いではないのか…と、何度も本人に問い質した。


『先生のことが好きだった。親しく話しているうちに、自分の彼女の様な気持ちになってしまった…』


子供の言葉を聞いて泣き崩れた母親は、憎しみの矛先を私に向けた。



『子供を惑わすとは如何なものか!?』


父親を連れだって学校へと赴き、言いたいことを言い放って転校させた。


その年に決まっていた本採用は、不思議と無効にはならなかった。

勧告という形だけは取られたが、ほぼ一切のお咎めを受けなかった。



『その代わり』として、学校内であったことは誰にも、何処にも公表するなと念書を書かされた。

あんな形でトラウマを残されたまま、その学校で5年間勤めて今の学校へと異動した。


通勤にスカートを穿かないのは、自分が女性であると生徒達に認識させたくない思いがあったから。

パンツルックにさえしていれば、足もさらけ出さずに済む。


あの日と同じ体験など二度としたくない。

男に……生徒に襲われるのなんて二度と嫌だーーーー。




そんな私が高島を自宅に引き込んでいる。

空腹が原因で餓死寸前だったのを理由に、救済措置を取った。


あれだけ男と2人きりなどならないと決めたのに、どうしてあの男だけは招いてしまったのだろう。

傷を深めて増やしてしまうだけなのに、どうして直ぐにでも追い出さないのか。

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