未熟女でも恋していいですか?
ガタガタ…と揺れのひどい軽トラックの中で名前を聞いた。


「俺の名前は『たかとう のぞむ』って言うんだ。高い島と書いて『たかとう』と読む。のぞむは希望の『望』のみ一字。子供の頃は高望みな名前だな…とよく言われたもんだ。俺が自分で付けた名前でもねぇのにさ」


「ぶっ……!」


くくく……!と笑いを噛み締める。

この人、変だけど面白い。

何が…って明け透けないところが。



「笑うなよ。そういうあんたの名前は?仙道何てゆーんだ?」


「かつらです」


「鬘?」


「それ頭に被るものでしょう?イントネーションが違います。か・つ・ら。段々と下がるんです」


「かつらぁ〜〜?厄介な名前だな。どんな字書くんだよ」


「藤の木の『藤』と書いて『かつら』です」


「へぇ〜〜藤か。そう言えば、あんたん家の庭に藤棚があったな」


家の外壁を眺めてた割に、そんな所にまで気付いてたのか。


「ええ。あの藤の木は私が生まれる前の年にあの場所に植えられたんです」


「あんた幾つ?」


「女性に歳を聞くんですか?失礼にも程がありますよ!」


礼儀知らずな人。


「そう言うなよ。あの家の状態からして30年は経ってるな」


「家と一緒にしないで!」


「だったら言ってみろよ。幾つ?」


「さ…35……です」


「何で言い淀むんだよ」


「もう直ぐ36になるからで……っ!」


しまったぁ……つい、本当のことを………


< 8 / 190 >

この作品をシェア

pagetop