未熟女でも恋していいですか?
「分かった、分かった」


適当な答え方。

念書でも書かしてやろうか。



ーーチクッと胸が痛む。

念書なんてもの、見るのも嫌だった。



「どうかしたか?」


箸を止めて聞かれる。


高島は私の変化に敏感だ。

ちょっとした気持ちの変化も直ぐに気づいてしまう。



「何でもない。ハンバーグが辛いだけ」


もぐもぐと噛みながら言葉を濁す。


「俺が食べてやろうか?」


箸を伸ばすな。


「遠慮します。お替りならあるのでどうぞご自由に」


まるで居たこともない兄と食事している様な気分だ。

楽しいとは言い難い。けれど、つまらない感じでもない。


「俺たちいいコンビだと思わねーか?」


「どういう意味で?」


「カップル的な意味合いで」


「それはないですね」


箸でハンバーグを切り分けて付け加える。


「高島さんとはカップルになりたくないです」


あんたに限らず、男全般だけど。


「ツレねぇな」


「ツレなくて結構」


私は1人でないと困るの。

男に触れられると思っただけで、パニックを起こして卒倒するから。


「嫁に行けねーぞ」


「行けなくてもいい」


「あー言えばこう言う。カツラの悪い所だ」


「ほっといて下さい!」


つまらないんじゃなかった。

ただ煩いだけだ。


「お前、本当に1人がいいのか?それとも1人で居たいだけ?」


昼間の音無さんと同じことを聞く。

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