なみだ雨
2
どこに行けばいいのかわからない。
とりあえず、
さっき和菓子をいっぱいもらったから、
食べ物には困らないはず、
そんなことを考えながらとぼとぼと、
夜の歩道を歩いていた。
時間を見ようと携帯をポケットから出す。
電池切れだ。
ズキンズキンと響く頭痛。
こめかみを押さえた。
だいぶ寒くなってきた。
明日はもう12月。
雨が降ってないだけ、幸いだった。
なるべく、
家の方には近づかないように歩いていた。
そうすると、
自然と常連さんのアパートの近くに
来ていた。
見たことある風景。
歩いたことのある道。
もうすぐでアパートが見える。
その、角を曲がればすぐだ。
そう思って、足を止めた。
もう、迷惑はかけたくない。
はるかは踵を返した。
とりあえず、家電屋さんで携帯電話の充電器を買って、
「あの…」
携帯が動いたらどこか安いホテルを探して、
「すみません…」
でもお財布の中にはそんなに入ってないし、
ネットカフェとか、そういう場所に…
「あの!」
急に腕を掴まれた。
びっくりした。驚いた。
でも、怖くはなかった。
その相手が、常連さんだったから。