なみだ雨


「やっぱり」

え?っと振り向くと、
はるかは微笑みながら言った。

「女の勘」

それだけ言うと、
携帯を充電しに近くのコンセントに差し込んだ。

「お風呂入ったら気分転換になりました、ありがとうございます」

はるかはぺこりとお辞儀をする。

はるかが借りて着てる練のTシャツから胸元が見えそうになって、
練は思わず目をそらした。

「毛布貸してくれませんか、ここで寝ます」

はるかはそう言うと、
クッションを手に取る。

「いや、僕がここで寝ますんで、布団にどうぞ」

「床で寝るのは慣れてます」

意味深な言葉のような気がした。
なにかあるような気がした。

「いや、だめです、女の子は身体を冷やしちゃいけないと、祖母に教わりました」

うふふっと、笑ってしまう。
戸惑った顔が見て取れる。
なんでもないと、手を振ると、
はるかは、わかりました、と言った。


「あ、名前教えてくれませんか」

だいぶ話しているのに、
今更名前を聞くのはおかしな話。

でも、知らないのはもっと変。

「梁島練です」

「菊原はるかです」




それじゃあ、おやすみなさい

おやすみなさい


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