想いの能~チカラ~ 番外編集

「何と…」書類の表面だけを見て中に書いてある文章を“視た”のだろう…侯爵の能は透視と千里眼。

「……何と、愚かな事をしてくれたんだ…。」絞り出す様に言った侯爵に

「第一王子からの伝言を『イリーナ・フェイドを私の妃候補から外す。これは王もご存じだ。この件は我がフレイムにあってはならない事件。厳罰を覚悟せよ。』との事です。」そう言うと侯爵は項垂れるとゆっくりと顔を上げると

「イリーナ、お前はよくもフェイド家に泥を塗ってくれたな。…私は何度も繰り返して言ってきた筈だ『外の世界に出ることはお前もフェイド家の顔として生きなければならないと。貴族以前に人として恥じない生き方をしろ』と…お前はこのような事をして恥ずかしくないのか?」問いかける様にイリーナに言うけれどイリーナはなにも悪いことをしていない、と顔をしている。

「……残念だよ。」そう言うと侯爵は

「イリーナ、お前を南の修道院に行きなさい。」あの修道院か。満潮時は修道院に続く道が海に沈んで見えなくなり、人の出入りもごく僅かしか許されない正に孤立した所。

「そんな…わたしは…」と膝から崩れ落ちたイリーナ。

「では、これを持って帰ります。…殿下、及びご令嬢には大変申し訳ありませんでした。とお伝え願います」と言うと侯爵とイリーナ元団員は部屋から出ていった。
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