想いの能~チカラ~ 番外編集
夜勤メンバーに酔っぱらったオジサンを渡してからクロードさんは
「レイカ、イヤならハッキリと言わなきゃダメだ。否定されないことで逆に付け上がるヤツもいるんだ。」
「すみません…。」『察してよ』はこっちでは通じないのか…。
しゅん…としているとかなり空気が悪くなって居心地が悪くなった。…来なかった方が良かったのかな…。
「…きみは、ああいう輩に声を掛けられた事はないのか?」
「いえ、無いです。」正確に言うと普段はイヤホンをつけて音楽を聞いているから《聞こえていない》が正確。
「そうか…。ならこれから対処法を学んだらいいんじゃないか?」…文字も言語も仕事も覚えろって?…そんなに器用な人間じゃ無いよ。
「ごめんなさい。…空気悪くしてしまいましたね。あたしは一足先に寮に帰らせて頂きますね。このような場を作って頂いてありがとうございました。…皆さんおやすみなさい。」そう言うと、すっと立ち上がって居酒屋の玄関まで歩いていく。外に出ると土砂降りの雨が降っていた。…雨具を持っていないため、寮まで走れない事も無いし、あれこれと一気に起きた為、走ってムシャクシャした気持ちをどうにかしたかった。
あたしは寮まで走る事にした。