イジワルな初恋
「昨日本社からイケメンが来たらしいんですけど、そんな人いましたっけ?」
なかなか言い出せない優菜ちゃんに変わって私が聞くと、部長は少し考えた後答えた。
「イケメン?んー、中矢(なかや)のことかな?」
ーーバサッ!
「え?岩崎さん大丈夫ですか?」
思わず手に持っていた段ボールを落としてしまった。
だって、私はその名前をよく知っているから。
でもすぐに気を取り直し「ごめんごめん」と言って段ボールを拾った。
知ってる名前だけど、違うに決まってる。
だって、イケメンという部類ではないから。私の知ってる中矢君は……。
それから部長は一度本社に戻り、遅番の広野くんと副店長の末永(すえなが)さんと一緒に再び店にやってきた。
落ち着いていて優しい末永さんは二十九歳で、三年前に副店長としてこの店に配属された。ちなみに新婚だ。
「岩崎さんどうかしたんですか?」
広野くんがレジに立つ私の顔を覗きこむ。
「ううん、別になんでもないよ」
考えてるつもりはなかったけど、やっぱり頭の片隅から離れないでいた。
でも結局、その中矢という人は現れることなく、私の怒涛の九連勤は終わった。
シフトを考えるのは店長だから、予想してなかったわけじゃないけど、土曜日に休みをもらうからってなにも九日連続出勤にすることないのに。
家に帰り、そのままベッドにうつ伏せで倒れた私の頭の中は、明日のことでいっぱいだった。
「なに……着ていこうかな……」
なかなか言い出せない優菜ちゃんに変わって私が聞くと、部長は少し考えた後答えた。
「イケメン?んー、中矢(なかや)のことかな?」
ーーバサッ!
「え?岩崎さん大丈夫ですか?」
思わず手に持っていた段ボールを落としてしまった。
だって、私はその名前をよく知っているから。
でもすぐに気を取り直し「ごめんごめん」と言って段ボールを拾った。
知ってる名前だけど、違うに決まってる。
だって、イケメンという部類ではないから。私の知ってる中矢君は……。
それから部長は一度本社に戻り、遅番の広野くんと副店長の末永(すえなが)さんと一緒に再び店にやってきた。
落ち着いていて優しい末永さんは二十九歳で、三年前に副店長としてこの店に配属された。ちなみに新婚だ。
「岩崎さんどうかしたんですか?」
広野くんがレジに立つ私の顔を覗きこむ。
「ううん、別になんでもないよ」
考えてるつもりはなかったけど、やっぱり頭の片隅から離れないでいた。
でも結局、その中矢という人は現れることなく、私の怒涛の九連勤は終わった。
シフトを考えるのは店長だから、予想してなかったわけじゃないけど、土曜日に休みをもらうからってなにも九日連続出勤にすることないのに。
家に帰り、そのままベッドにうつ伏せで倒れた私の頭の中は、明日のことでいっぱいだった。
「なに……着ていこうかな……」