イジワルな初恋
今日は日曜、お店に戻るといつもの倍くらいのお客様が店内を物色している。

「いらっしゃいませ」

末永さんはアクセサリーケースから商品を出しお客様に見せながら接客をしていて、優菜ちゃんは戻ってすぐ入口付近にいるお客様に声をかけられた。

レジには三人並んでいて、広野くんがひとりで対応している。私は店内の様子を見てすぐにレジに入った。

広野君が会計をしている間にサッと商品を袋に詰める。

「ありがとうございました」

レジでお客様が途切れたとき、ふと店の前に視線を移すと、店長が外から店の様子を眺めていた。

っていうか、この状況見て忙しいって分からないかな?なにボーッと眺めてるのよ。

我慢できず、店長に声をかけた。

「店長、すいませんがレジ入ってもらえませんか?」

本当は〝そこに突っ立ってるなら〟っていう言葉を入れたかったけど、そこはグッと飲み込んだ。

「ん?ああ、分かった。そうだ岩崎、リストはできたか?」

移転に向けての商品リストのことか。

「閉店したら渡します」

混んでるときに渡したりしたら、また店長はリストをジーッと眺めるだけだろうから。


「岩崎さん!アクセサリーのお客様お願い」

末永さんにそう言われ、急いで店内へ戻った。


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