イジワルな初恋
「だ、だから、それがなんの関係が……」

俯いたまま聞き返すと、中矢君は組んでいる腕をテーブルに乗せ、グッと私の顔に近づいた。

ドキドキなんかしてない!絶対してない!

そう自分に言い聞かせるかのように、近づいてくる中矢君の顔をジッと見つめた。


「男性用アンダーウェアとはさ……俺の方が付き合い長いから」

「……はぁ~!?こっちは真剣に仕事の話をしてるのに、なにふざけてんのよ!」

こうやって時々ふざけたりする所、昔と全然変わってない!

「ふざけてないよ、本当のことだし。なにしろ毎日履いてるからな」

「もう話にならない。リストのことは鏡部長に相談します。部長、どう思いますか?」

隣に座っている部長に話を振ると、部長はまた突然笑いだした。

「ハハハッ!いやーよかった」

「え?なにがですか?」

「あまりにもふたりが仲いいもんだから、てっきり俺と広野のこと見えてないのかと思ったから」


恥ずかしくなってまた俯いた私の耳は、今きっと赤くなってるんだろうなって自分でも分かるくらい熱かった。


「そうなんですよー。俺たち仲よしなんです」

またそうやって軽いこと言う!

「仲よくなんかないです!」

こんな話をしにきたわけじゃないのに、中矢君のペースに乗せられてしまう。

「とりあえずさ、中矢も意地悪しないでちゃんと言えよ」

「だって部長、岩崎さんからかうの面白いんですもん」

本当にムカつく!あの優しかった中矢君を返せ!

私が膨れていると、さっきとは明らかに違うトーンで中矢君が話始めた。


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