イジワルな初恋
告白
「俺に指摘されるのが嫌なら言われる前にやってくださいよ、岩崎さん」
「分かってます!今からやろうと思ってたんだから、余計な口出ししないで頂けますか!?」
「おー怖っ、少しは優菜ちゃんの笑顔を見習えよ。あ、若さが違うから無理か」
も~なんなの!言い返すのも疲れる!
あれから毎日事業部の人たちが応援にきてくれるけど、いちいちちょっかい出してくる中矢君とは結局いつもこんな感じで……。
無視しようもんなら、耳元でわざと『りりー』とか言われるし。ほんと疲れる。
私をからかって面白がったり、いったいなにがしたいのよ。
「店長、休憩いただきます」
「一緒に行くか?岩崎さんの知らない俺を沢山教えてやるよ」
小声でそう言われた私は軽くため息をつき、中矢君の視線を無視してお店を出ると、丁度部長がやってきた。
「おお、今から休憩か?」
「はい。なんか色々疲れたんで、ご飯食べて復活します」
わざと中矢君に聞こえるようにそう言った。
「俺も昼まだなんだけど、一緒に行くか」
「はい是非、部長となら落ち着いてご飯食べれるし」
部長と一緒にデパートを出て、昔からある定食屋に入った。
夫婦で営んでいるこの定食屋は、どこか懐かしい雰囲気で味も抜群ということもあって、かなりの人気店。
昼時には混雑するから、いつも少し時間をずらして来るようにしている。
「いよいよ明後日には改装オープンだな」
「そうですね。あっという間です」
「明日が一番大変かもな。まーでもこのペースならバタつくことなく無事オープン日迎えられそうだし、良かったよ」
水を飲んだ後、部長はホッとしたような表情を浮かべた。
「はい、みなさんの協力のお陰です」
四階での店舗とは今日でお別れで、明日は一日かけて三階での準備をして、明後日オープンとなる。