イジワルな初恋
動揺
満員電車には慣れてるはずなのに、足元がいつもよりふらつく。
十年言えなかったことがやっと伝えられた、これでスッキリする。そう思ってたのに……。
だけど、明日のオープンに向けて今日は最後の準備をする大事な日なんだから、いつまでも落ち込んでなんかいられない。
なんとか気持ちを切り替えてお店に向かった。
デパートは通常営業だけど、私たちの店は準備の為パーテーションが立てられて、中の様子が見えない状態になっている。
九時に店舗のメンバー全員と鏡部長が集まった。
「みんなおはよう。明日の朝は気持ちに余裕をもってオープンできるようにがんばりましょう」
店長がそう言い、それぞれが担当する商品の準備に取り掛かった。
以前よりもガラスのショーケースの数が増えていて、その分少しだけ高級感が増した気がする。
真ん中の柱の周りをガラスケースが囲っていて、私はそこにアクセサリーを丁寧に並べた。
「このディスプレイなかなかいいな」
部長が私の隣に立って、上から下まで眺めながら呟く。
「ありがとうございます……」
「どうした?なんか元気ないな。珍しくメガネだし、寝不足か?」
昨日の夜お風呂で泣きすぎたせいか、瞼がとんでもなく腫れてしまったせいでコンタクトがつけられず、今日はメガネをかけていた。
「いえ、いつもと変わりませんよ。今日はちょっと目の調子が悪かったので」
精一杯の作り笑顔を見せる。
「ならいいけど。今日中矢は昼前には来ると思うから」
昨日までの私なら『別に待ってません』とか『からかわないでください』って言ってたと思うけど、もうそんなふうに冗談でかわすことが出来なくなっていた。
十年言えなかったことがやっと伝えられた、これでスッキリする。そう思ってたのに……。
だけど、明日のオープンに向けて今日は最後の準備をする大事な日なんだから、いつまでも落ち込んでなんかいられない。
なんとか気持ちを切り替えてお店に向かった。
デパートは通常営業だけど、私たちの店は準備の為パーテーションが立てられて、中の様子が見えない状態になっている。
九時に店舗のメンバー全員と鏡部長が集まった。
「みんなおはよう。明日の朝は気持ちに余裕をもってオープンできるようにがんばりましょう」
店長がそう言い、それぞれが担当する商品の準備に取り掛かった。
以前よりもガラスのショーケースの数が増えていて、その分少しだけ高級感が増した気がする。
真ん中の柱の周りをガラスケースが囲っていて、私はそこにアクセサリーを丁寧に並べた。
「このディスプレイなかなかいいな」
部長が私の隣に立って、上から下まで眺めながら呟く。
「ありがとうございます……」
「どうした?なんか元気ないな。珍しくメガネだし、寝不足か?」
昨日の夜お風呂で泣きすぎたせいか、瞼がとんでもなく腫れてしまったせいでコンタクトがつけられず、今日はメガネをかけていた。
「いえ、いつもと変わりませんよ。今日はちょっと目の調子が悪かったので」
精一杯の作り笑顔を見せる。
「ならいいけど。今日中矢は昼前には来ると思うから」
昨日までの私なら『別に待ってません』とか『からかわないでください』って言ってたと思うけど、もうそんなふうに冗談でかわすことが出来なくなっていた。