イジワルな初恋
休憩を終えた私は、すぐに作業を始める。

「岩崎さん、これって下の段でいいんですよね?」

インナーウェアの棚で作業をしてくれている優菜ちゃんの問いに私は頷く。

「うん、LLは下でお願いします。ありがとう」


私はインナーのディスプレイを終えPOPを並べた後、在庫品の確認と整理。鏡部長と店長と末永さんは、全体の確認をしていて、中矢君と広野くんはインナーウェアのセール品の値付けを手伝ってくれている。


二十一時、閉店と同時に店長がみんなをレジ前に集めた。


「いろいろありましたが、とりあえず今日の作業は無事終わりということで、みなさんお疲れさまでした」

みんな自然と拍手をしていた。だけど私は……。


「あの……、みなさん今日は迷惑を掛けてしまって、本当に申し訳ございませんでした」

そう言って深々と頭を下げた。


「謝らないでください。特別なことをした覚えはありませんよ、別に普通のことです」

「広野さんの言う通りですよー、私だって何度も失敗してるんですから」

「八木沢、そんなのは自慢にならないぞ」

「あっ、すいませーん」

店長の言葉にかわいい笑顔で舌を出して見せた優菜ちゃん。


安心したことで力が抜けたのか、みんなの優しさが心に響いて、私は思わず泣いてしまった。


「なに泣いてんだ、バカ」

小声でそうつぶやき、私の頭を後ろからポンポンと叩いた中矢君。

そんなことをされたら、余計に泣いちゃうよ……。


「失敗は誰にでもある。でも今日でよく分かったと思うけど、大切なのは個人ではなく全員がこの店舗を良くするために働くということだ。まぁだからと言ってミスをしていいわけではないけどな」

部長の言葉を、みんな真剣に聞いていた。

いよいよ明日はオープン初日。きっとあっという間に過ぎていくと思うけど、お客様に満足してもらえるようにがんばろう。


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