イジワルな初恋
しばらくしてグラウンドから誰もいなくなると、道具を片付けた中矢君がまた私のもとへ走ってきた。
「待たせてごめん、ちょっと座ろうか」
「うん」
私たちはグラウンドの隅にあるベンチに腰かけた。
「今日は休み?」
「夏休みもらったんだ。中矢君も休み?」
「ああ。休日は監督に頼まれてこうやって地元の野球チームを教えたりしてるんだ」
「そっか」
日は沈み、さっきまで公園から聞こえていた子供の声もすっかり消え、辺りは静まり返っていた。
時々吹く秋の風が、グラウンドの砂を巻き上げる。
「あのさ……私、卒業後の中矢君のこと、なにも知らなくて……」
「もしかして、謙二が?」
中矢君の言葉に頷く。
「あ、でも知りたいって言ったのは私だから」
「いや、いいんだ。ほんとはもっと早く自分から連絡するべきだった。でもさ、やっぱなんか色々考えちゃって、結局十年も連絡できなくてごめん」
私は思いきり首を振った。
私だって、ずっと連絡したかったのにできなかった。傷つけたうえに避けるようにしてしまったこと、怖くて勇気がでなくて……。
「ずっと言いたかったことがあるの」
私たちは逸らすことなく互いの目を見つめる。
「待たせてごめん、ちょっと座ろうか」
「うん」
私たちはグラウンドの隅にあるベンチに腰かけた。
「今日は休み?」
「夏休みもらったんだ。中矢君も休み?」
「ああ。休日は監督に頼まれてこうやって地元の野球チームを教えたりしてるんだ」
「そっか」
日は沈み、さっきまで公園から聞こえていた子供の声もすっかり消え、辺りは静まり返っていた。
時々吹く秋の風が、グラウンドの砂を巻き上げる。
「あのさ……私、卒業後の中矢君のこと、なにも知らなくて……」
「もしかして、謙二が?」
中矢君の言葉に頷く。
「あ、でも知りたいって言ったのは私だから」
「いや、いいんだ。ほんとはもっと早く自分から連絡するべきだった。でもさ、やっぱなんか色々考えちゃって、結局十年も連絡できなくてごめん」
私は思いきり首を振った。
私だって、ずっと連絡したかったのにできなかった。傷つけたうえに避けるようにしてしまったこと、怖くて勇気がでなくて……。
「ずっと言いたかったことがあるの」
私たちは逸らすことなく互いの目を見つめる。