イジワルな初恋
ふとグラウンドの時計を見ると、十九時を回ろうとしていた。
「そうだ、すき焼き!」
「すき焼き?」
「今日の晩ごはん、すき焼きにするって言われてたんだった。帰らなきゃ」
そう言って立ち上がった私を
中矢君が後ろからギュッと抱きしめた。
「まだちゃんと言ってなかった」
昔よりもずっと大きな体が私を包み込み、その低い声が私の耳を熱くする。
「これからもりりーが笑っていられるように、ずっとそばにいたい。だから、俺と付き合ってくれないか?」
ドキドキと胸が高鳴り、上手く言葉が出ない。
「あっ、えっと……私……」
すると中矢君は、私の体を自分の方へ向けさせた。
「今度は返事、待たないよ。今すぐ、聞きたい」
恥ずかしくてうつむいていた私は、顔をあげ中矢君を見つめる。
「私でよければ……お願いします」
その瞬間、彼はもう一度私の体を抱きしめた。
空白の十年間を埋めるかのように、強く強く……。
「あっ、ごめん!」
突然そう言ってパッと体を離した中矢君。
「どうしたの?」
「汚れてたんだった……」
さっきまで野球をやっていた中矢君のジャージは砂ぼこりで汚れていて、私の服にもそれが移っていた。
「なんだ、そんなことか」
私はそう言って、今度は自分から中矢君に抱きついた。
「十年前も、今も、大好き……」
「そうだ、すき焼き!」
「すき焼き?」
「今日の晩ごはん、すき焼きにするって言われてたんだった。帰らなきゃ」
そう言って立ち上がった私を
中矢君が後ろからギュッと抱きしめた。
「まだちゃんと言ってなかった」
昔よりもずっと大きな体が私を包み込み、その低い声が私の耳を熱くする。
「これからもりりーが笑っていられるように、ずっとそばにいたい。だから、俺と付き合ってくれないか?」
ドキドキと胸が高鳴り、上手く言葉が出ない。
「あっ、えっと……私……」
すると中矢君は、私の体を自分の方へ向けさせた。
「今度は返事、待たないよ。今すぐ、聞きたい」
恥ずかしくてうつむいていた私は、顔をあげ中矢君を見つめる。
「私でよければ……お願いします」
その瞬間、彼はもう一度私の体を抱きしめた。
空白の十年間を埋めるかのように、強く強く……。
「あっ、ごめん!」
突然そう言ってパッと体を離した中矢君。
「どうしたの?」
「汚れてたんだった……」
さっきまで野球をやっていた中矢君のジャージは砂ぼこりで汚れていて、私の服にもそれが移っていた。
「なんだ、そんなことか」
私はそう言って、今度は自分から中矢君に抱きついた。
「十年前も、今も、大好き……」