イジワルな初恋
デパートを出てふたりと別れた私はいつものBarへ向かった。
仕事を終えた中矢君が先にお店で待ってるから、早く会いたい私は歩く速度を少し速める。
髪の毛を少し直した後扉を開けると、カウンターの奥にいるのは……。
「なに口開けてボーッと突っ立ってんだよ」
「あっ、うん……」
手招きをされ、焦って彼の隣に座る。
マスターからモヒートを受け取った私は、そのまま彼と乾杯をしてひと口飲んだ。
「店はどうだ?」
「お陰さまで売り上げも順調だよ」
「そっか。で、例の派手なパンツは売れてんのか?」
「もー、いつまでそれ言うつもり?性格悪いよ!」
わざと膨らませてみせた私の頬を、中矢君が指先でプニッと押した。
「そういえば俺ずっと思ってたんだけどさ、りりーがイジメられてたのって、多分そこそこ可愛かったからじゃないか?」
「そこそこって、それ褒めてんの?バカにしてんの?」
いつもこうして私をからかって面白がる。
「当時はそこそこ可愛かったけど、今は……」
「今は、なに?」
そう言ってジーッと中矢君を見つめる。
「今は……やっぱやめた!」
「なにそれ~!イジワル!」
赤く染まった顔を隠すように、反対側を向いた中矢君。