失恋シンデレラ
南校舎の2階。
一番奥に、数学科準備室がある。
基本的に先生達は職員室にいるけれど、藤井先生はよく数学科準備室にこもることが多い。
放課後。
職員室を覗いてみると、案の定藤井先生はいない。
私は誰もいない静かな廊下を、窓の外を見ながら歩く。
グラウンドでは、陸上部がトラックを走っている。
"数学科準備室"
年季が入ったプレートは、"数"の文字が薄くなってはげている。
私は扉の前に立ち、1度気持ちを落ち着かせるために深呼吸をする。
それから扉を2回ノックした。
ーーコンコン…
「はい」
中から聞こえる男の人の声に、私の心拍数がはやくなる。
「し、失礼しますっ!」
数学科準備室の扉を開けると、少しほこりっぽい狭い部屋が現れた。
ついたてがあって先生の姿はすぐには見えなかった。
でもついたての向こうで、何やら作業をしているようだ。
「おお…楠木(くすのき)か。どうした?」
先生はついたての向こうから顔を出して、私の方を向いている。
藤井涼太(ふじいりょうた)先生。
K大卒の25歳。独身。
数学担当。
身長178センチの長身で、葉月によれば肉食系のイケメン。
少し意地悪なところが、女子から人気。
バレンタインは毎年大量のチョコをもらうらしい。
少し言葉が乱暴なところがある。
「あの、えっと…わからない問題があって…」
「…どの問題だ?こっちこいよ、教えるから」
「は、はいっ」
一番奥に、数学科準備室がある。
基本的に先生達は職員室にいるけれど、藤井先生はよく数学科準備室にこもることが多い。
放課後。
職員室を覗いてみると、案の定藤井先生はいない。
私は誰もいない静かな廊下を、窓の外を見ながら歩く。
グラウンドでは、陸上部がトラックを走っている。
"数学科準備室"
年季が入ったプレートは、"数"の文字が薄くなってはげている。
私は扉の前に立ち、1度気持ちを落ち着かせるために深呼吸をする。
それから扉を2回ノックした。
ーーコンコン…
「はい」
中から聞こえる男の人の声に、私の心拍数がはやくなる。
「し、失礼しますっ!」
数学科準備室の扉を開けると、少しほこりっぽい狭い部屋が現れた。
ついたてがあって先生の姿はすぐには見えなかった。
でもついたての向こうで、何やら作業をしているようだ。
「おお…楠木(くすのき)か。どうした?」
先生はついたての向こうから顔を出して、私の方を向いている。
藤井涼太(ふじいりょうた)先生。
K大卒の25歳。独身。
数学担当。
身長178センチの長身で、葉月によれば肉食系のイケメン。
少し意地悪なところが、女子から人気。
バレンタインは毎年大量のチョコをもらうらしい。
少し言葉が乱暴なところがある。
「あの、えっと…わからない問題があって…」
「…どの問題だ?こっちこいよ、教えるから」
「は、はいっ」