失恋シンデレラ


それからは特に二人で話したりすることもなかった。

だけど今までと違うのは、廊下ですれ違う度に先生は私に笑いかけてくれた。
私も先生に笑い返す。

その度に告白して良かったと、心から思えた。

告白の返事はもらっていない。
いまはもらうときではないと思った。

先生の気持ちにきちんと整理がついたら、返事をもらおうと思っていた。

だから失恋もしていない。
いままで通り、先生を想う日々。


でも高校2年生の一学期の終業式、その知らせは突然入ってきた。

「藤井先生、学校やめるらしいよ!」

「うそ!?ショック~!」

クラスの女子がどこから聞いてきたのか、そんな知らせを耳にしてしまった。

先生、学校辞めるんだ。
きっと、それが先生の心の整理をした結果だったんだろう。

納得した気持ちと裏腹に、私の心にぽっかり穴が開いたような気がした。
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