失恋シンデレラ
「告げても、王子様はその女性と結婚したかもしれない。最終的に泡になったとしても、想いを告げているのと告げていないのとでは、気持ちが全然違うと思うよ。告げていれば心残りなく泡になれたかもね」

私が人魚姫ならば、きっとなにも伝えずに泡となって消えていただろう。
肉体は消えても、王子様の事を思う気持ちは一生消えない苦しい傷のように残っていただろう。

「でも君は、人魚姫とは違って告げたんだろう?君ならどんな結末にしたい?」

どうしたいかなんて…決まっている。

「二人が両思いだと知っているのは私だけ。なら、二人に幸せになってもらいたい」

瑞穂は大切な友達だ。
私がしなければいけないのは……

「決まった?」

流していた涙は、もう止まっていた。

「はい」

私は泣き腫らした顔で、にっこり笑った。
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