恋季節~春夏秋冬~
---1冬---
恋って楽しい?
好きって何?
オレに恋することなんてあるのかな?
「冬ーっっ!!」
返事はせずに顔だけ呼ばれた方向に向く。
名前を呼ばれた方向を見ると見慣れた女が走ってくる。
その女はオレの前で止まるやいなや
「コラ、ちゃんと返事をしなさいっ」
なんて言ってくる。
その言い方はまるでオレの姉貴にでもなったようだ。
まぁあながち違うとも言い切れないような相手だけど。
「別にムシしたわけじゃないからいいじゃん」
「……生意気」
「よく言われる」
春姉よりしっかりしてて、秋姉よりほわほわしてるこの人は亜由子(アユコ)先輩。
オレの1個上。
小さい頃から秋姉と健と亜由とよく一緒に遊んでた。
いわゆる幼なじみ。
春姉や夏兄も遊んでくれたけどなんだかんだで1番遊んだのはこの4人だった。
「何の用?」
「何の用?なんて可愛くないなぁっ」
「別に可愛くなくていいよ」
「あたしの冬のイメージは可愛いんだもん」
「は?
可愛く無いって言ったじゃん」
「冬が可愛くないのは今。
昔はもっと可愛かったー
“亜由ちゃん、亜由ちゃん”ってそれはもう可愛らしかったのにっ」
「それ頭の中で少し美化してるでしょ」
ちょっと暴走気味の亜由にツッコミを入れる。