恋季節~春夏秋冬~

追いかければいいのに。


追いかけなきゃいけない気がするのに。


足が重くて、動かない。



「修羅場?」


「秋姉…」


「冬が私らのことを思ってくれてること知ってるよ。

私らと離れたがってること知ってるよ。

でも冬は離れたがってるけど、本当に離れたいの?

自分だけ大人びて、離れたいなんて思ってるだけで、1番離れたくないのは冬じゃないの?

少なくとも私には…

お姉ちゃんと夏兄と私には、
自分は大人だから、
って勝手に思い込んで離れようとしてるのが、離れがたく思ってるようにしか見えないよ」


「…………」


「事実はそうじゃないかもしれないけど、冬はそこんとこ考えた方がいいと思うよ」



離れたがってるくせに、離れようとしないのは、オレ?


亜由とも、春姉とも、夏兄とも、秋姉とも。


なにも変わらない。


そう思ってたのはオレだけ?


それはいい意味でも悪い意味でもオレが決めつけてた?


そうか。


ずっと同じでいられるなんて思ったことはない、

なんて言って本当はオレが1番ずっと同じでいてほしかったんだ。


変わらないんじゃなくて。


変わりたく無かった。


だからみんなから遠ざかりたかったのに。


なのに、オレはそれを壊すのが怖かったんだ。


壊れたら戻らない気がして。


変わったら、オレも変わってしまう気がして。


この空間が壊れてしまう気がして。


だからオレは、自分が離れたらそのまんまなんじゃ無いかって、勝手に思い込んたんだ。


オレ自身が離れたら、その時点でもう変わってしまうのに。


1人だけ大人な振りして、1番、なによりこの関係を崩したく無かったのはオレだったんだ。




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