恋季節~春夏秋冬~
「何する……!?」
やっぱりまた涙が出てきて、止められない。
でも、今の私には止めることより話さなきゃって思いが強くて。
「…ぅ゛…ひっく……っく…」
「ちょっとどいて…」
首を横に振りながら
「…っ…ぃっ……嫌っ…です…!!
どっ……どぃっ…どいて…っ…しまっ…たら……篠宮っ…く…ん……行ってしま…われ…ますっ……ど…きま…っ…せんっ…っ…」
って訴える。
「わかったよ!!
わかったからっ!
どこにも行かないからとりあえずどいてっ
皆見てるからっ」
気づけば下校する生徒達がチラチラ見ている。
「すっすい…ませ…んっ」
「こっち」
篠宮くんに連れられて言ったのは大きな桜の木の下。
「で、何だって?」
冷たい目線を向けられて一瞬怯むが言いたい事を言う。
「迎えに来てくれたのは弟なんです」
「へ? だって春って…」
「夏野はそーやって呼ぶんです。
あ、証拠です」
家から持ってきた保険証を篠宮くんに見せる。