恋季節~春夏秋冬~

「春、門まで行くよ」



夏先輩が送ると言ったけど



「いいよ。

ご飯食べないとお腹痛くなるよ?」



と春さんは諭す。



「けど…」


「じゃぁ私が送って行きますよ」



春さんといる夏先輩なんて見たくないけど、そんな困ったような顔している夏先輩なんてもっと見たくない。



「彩名? いいのか?」


「うん、午後は動き回らないし」


「そっか、ならよろしく!」



夏先輩が手をあげて走って行く。


夏先輩の走ってる姿、好きだなぁ……



なんて思ってると、困ったような顔をして春さんが私を見る。



「彩名ちゃん、本当にいいですよ??」


「私もっと春さんとお話したいですし」



口をついて出た言葉。


こんなのウソなのに。


なるべくなら見たくない顔なのに。


でも夏先輩に嫌われたりとかは嫌なの。


だったら私は嫌なことでも夏先輩のためなら。


何でも出来る。



< 68 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop